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essay―HANAゆうきの足跡―
○タイの村で染めてみました。「マンゴーの木」

マンゴーの木 1998年に初めてタイに出かけ、ケアージャパンという組織から桑の木の研究、指導のために赴任されていた山川氏を頼ってウボンにいきました。
山川氏の案内で、町の中心から車で2時間は飛ばしたでしょうか、そろそろ疲れを感じた頃に林の中から村落が見えてきました。

そこはもめんの糸をマンゴーの木やジャックフルーツなどの植物で染めて織っている村でした。
象の柄を中心にして、織り組織としてはとても複雑で高度なものでした。
ふたりがかりで柄の部分を織っていきます。
タイのみやげ物としてよく見かける 袋物や小物、クッションなどに使われているものだとわかりました。
またそこはタイや日本のいろいろなプロジェクトが関係している痕跡がわかるグッズも見かけられます。

急な展開ですが、庭先でマンゴーの木を削り鍋にいれて染めさせてくれると言う事になりました。
まきで火をおこし湯をわかします。
その中に木をいれて染液を煮出すのですが、そこへ凍り砂糖のような透明な塊を放り込みました。
私にとっては初めて目にするものでしたが、これが東南アジアでは昔から雨水を浄化するために使われていると聞く天然みょうばんだとわかりました。

ただ不思議なことに、染めたあとに今度は染料店に売っているような小袋入りの粉末粉を溶かして媒染するのです。
天然の明礬で媒染しているのに、一体何の粉なのか、尋ねてもらうと植物での染色の普及、指導に来た先生が教えたとのことです。
タイの村々でも草木で染めている割合はかなり少ないと思われる中で、ここもめんの村は比較的、草木染めの織物の比重が高いようですが、伝統的に受け継がれてきた方法と日本をはじめ、外からもたらした指導とのあいだには、かなりのギャップがあるような気がしています。

村のはずれにある家の井戸水が、魔法の水だからと明礬で黄色く染まったシルクの布を持って20分ほどかかって案内されました。
今はもう使っていないというその井戸のポンプを汗だくでくみ上げ、布を浸すと徐々にゆっくりとグレーっぽく変わっていきます。
水を汲み上げた途端、かなり強烈な鉄の匂いがするのでこの井戸水が、鉄媒染の役目をするのだとわかります。
案内してくれた村のひとたちの、
「とても大切な秘密を教えてあげたんだ、不思議でしょう」
と言わんばかりの自慢げな表情はタイでの初めての染色体験とあわせていつまでも心に残ることでしょう。

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