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essay―HANAゆうきの足跡―
○タイの黒染め屋さん

ウボン ウボン周辺の織物をしている村々を回る中で、村の中の道を歩きながらふと足元をみると、黒っぽい布が置いてある事が時々あります。
初めてその光景に出会ったときは、道端に捨てられているのか、たまたま落としてあるのだと思っていました。

一軒の家に入り、そこのおばあさんが織ったマットミーという東北タイの絹布を見せてもらうと、この家の布は絹糸もとてもしなやかで絣の柄も細かく、そして色が焦げ茶のような黒っぽい地色の布が多いのです。

「伝統的な植物の染めはしてないのか?」
と尋ねると、
「マックルアーというタイ黒檀の実で黒っぽい色を染めている」
と返答が帰ってきました。
青柿を小さく小さくしたような実を取ってきて見せてもらったのですが、染色方法まではみることはできませんでした。

何日も何日も太陽に当てて、だんだんと色を濃くしていくといいます。

まるで柿渋染みたいだと思いながら、その後訪ねた村々でマックルアーで染めている人はいないかと聞きまわりました。
なんとか、一度ぐらいは見たいと思いつづけて。

タイの黒染め とてもやさしい家族でした。
おじいさんが臼で実をつぶし、灰汁のようなものと混ぜています。
それをおばあさんが染めているのですが、なかなか大変な仕事です。
薄いグレーから黒く染まったものまで、広いもめんの布が地面いっぱいに広がっています。
チェンマイでお店を持っている日本人からの注文が多いそうですが、その染代金というのは、物価のちがいとはいえかなり安く家業として維持していくのもきびしいとのことでした。
それでも優しくとても明るい笑顔がすてきな家族でした。

半年後、そのおばあさんに会いたくて日本からHANAゆうきオリジナルのシルクを持って行きました。

いつまででも待つから、黒く染めてくださいとお願いして。

一ヵ月以上経った頃、ウボンに住む友人ラットさんが一時間半離れた村から綺麗に染まった私のシルクをもらってきて送ってくれました。

マックルアーというタイ黒檀で染めてもらった布で、まず最初の一点、ロングブラウスに仕立てました。

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